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総会屋とは?かつて13時間半続いた株主総会があった!うそのような本当の話

こんにちは!なっしー( @megane_toushi )です。

【総会屋】という言葉を聞いた覚えがあるのは子どもの頃。

スキャンダル的なニュースとして連日取り上げられていた記憶がうっすらあります。

わたしは36歳でこの状態なので、20代前半だと【総会屋】という言葉自体知らない人が多いでしょう。

いまでは信じられませんがかつて【総会屋】と呼ばれる人たちが企業の株主総会を荒らすという恐ろしい時代があったのです。

いま我々が享受している当たり前の安全は本当に先人の努力だと感じさせられます。

この記事では全国紙の記者目線で総会屋の実像に迫った迫力のノンフィクション本【総会屋とバブル】という本の内容を一部ご紹介します!

小説のようにおもしろく一気に読み終わりました。総会屋とはなにか?どういう結末を迎えたのか?興味あれば必読です。

総会屋とは?

総会屋とは主に「株主総会」に出席して質問攻撃をし、総会を長引かせ企業のイメージを悪くしようとする人たちを指します。

要は企業へ嫌がらせをしてお金を受け取っていた人たち。

歴史は古く、株式会社ができた明治から存在したそうです。

1960年~70年の高度経済成長期に急増し、1981年には約6800人がいたと言われています。

【総会屋】は大きく分けて3つのタイプがあります。

冒頭で説明したように企業へ攻撃を仕掛けるのが「野党総会屋」。

野党総会屋から企業を守るのが「与党総会屋」。

他の総会屋に根回しをして株主総会を短時間で終わらせるのが「幹事総会屋」。

なぜ総会屋へ利益を渡すのか?

大企業の社長はメンツが大事。

株主総会で大量の質問を浴びせられ、答えに窮したり、スキャンダル発言をされたくない、という見栄やプライドに漬けこまれ金銭を支払うのでした。

末期には暴力団関係者が総会屋となり直接企業の担当者を脅すこともあったようです。

企業側の恥部を触られたくないという思いと、脅迫はお金で解決したい、という思いが交錯して成り立っていました。

わたしがもし当時の企業担当者で、暴力団関係者に対面で脅されたとしたら突っぱねる勇気はありませんね。

こんな時代に生まれなくてよかったと思います。

1982年の商法改正で激減

そんな脅しが許されるはずもなく、1982年に商法が改正され総会屋潰しが本格的になります。

利益供与罪の新設と単位株制度の導入です。

この本を読んではじめて単位株制度が総会屋対策でできた制度だということを知りました。

利益許与罪自体は「懲役6ヶ月以下または罰金30万円以下」という軽微な罰で執行猶予もよく付いたそうで抑止力にはならなかったようです。

単位株制度の方が効果的で、1株でも株を取得し株主総会に出席できていたのが、ある程度まとまったお金が必要になりました。

そのためお金を持っている強い総会屋だけが生き残る結果になります。

1983年には約1700人と1981年の約6800人から激減。

1984年には1400人、1987年には1300人と数を減らしていきます。

商法が改正され警察も利益供与をやめるよう訴えたことから、企業側もこれまでの慣例を無くし総会屋に利益を渡さない動きがでてきます。

そうすると総会屋は株主総会での質問攻勢をかけ、時間を長引かせ議長である社長を困らせるという本業?をしっかり行うようになります。

13時間半の株主総会

そんな時代の流れを象徴する出来事が、1984年のソニーの株主総会で起きます。

ソニーの5代目社長大賀典雄が「特定の株主への便宜供与はしない。株主の質問には最後まで真摯に答える」と宣言します。

歴史に残るセリフですね。近代史の教科書に載せるべきです。

当然総会屋たちは反発し、見せしめとして大勢の総会屋が1984年のソニーの株主総会に出席するのでした。

大賀典雄社長は本当に最後まで質問に答え、結局株主総会は13時間半にも及びます。

これはいまだに破られていない記録だそうです。今後もきっと破られないことでしょう。

大企業が規範を見せる。すばらしい社長が居たのだなと考えさせられました。

それでも総会屋との関係は続く

ソニーのように利益供与をしない企業も出てきますが、一方で供与し続ける企業も残ります。

総会屋もお金のもらい方を工夫します。

直接お金をもらうのではなく情報誌を作って購読料の名目でお金を受け取ったり、海の家を作って福利厚生としてお金を受け取ったりと一見普通の取引を装うわけです。

一部上場企業20社以上から、商法改正後の1985年~1997年までで1億4000万円も受け取った総会屋が捕まる事件も起きます。

利益供与罪は供与した方も逮捕されるので、総会屋との窓口を担当していた総務部の責任者も次々逮捕されます。

こんなこと今の時代考えられませんね。なんでこんな異常なことが許されていたのでしょう。

株主総会が円滑に進むためにお金を払うのは会社のために他なりませんよね。

なのに総会屋へお金を提供したのは総務担当者個人の判断だといって社長は責任を取ろうとしない。

こんなひどい話が20年ほど前は当たり前のように語られているのが衝撃です。

いまの時代そんなことやれと言われたらさっさと会社をやめたり内部告発してやりますよね。

1997年の商法改正でダメ押し

1997年にも商法が改正されてこれが総会屋を封じ込めるダメ押しとなります。

利益供与罪が「懲役6ヶ月以下または罰金30万円以下」から「懲役3年以下または罰金300万円以下」と厳罰化され執行猶予無しの実刑がくだされるようになります。

また「利益供与要求罪」がという要求しただけでも罪になる罰則が新設されました。

懲役刑は総会屋の人たちも避けたかったようでここから一気に事件が減っていきます。

総会屋が関与した事件としては2004年の西武鉄道の土地譲渡による利益供与が最後だそうです。

当時から「まだ総会屋とやり取りがあったのか」と驚かれたようでした。

こうして日本の株主総会から総会屋の姿は消えていきます。

あとがき

もし自分が当時の総務担当者だと想像するとゾッとします。

いまは普通に働いていて暴力団関係者と接触する機会はまずありませんね。いい時代に働けて幸せです。

警察の長年の努力に感謝したくなります。

コロナ過もあり最近の株主総会は時間指定のオンラインで開催されています。

質問もオンライン上のチャットでやり取りされ、時間内に回答できなければ回答せず終わりというさっぱりした形です。

総会屋が付け入るすきなど微塵もありません。

リアル会場で株主総会を開催する必要性が無いことも証明されています。

会場や準備のための費用、貴重な役員たちの時間を拘束することを考えるとオンラインの方に圧倒的にメリットがあるのでコロナが落ち着いてもオンライン開催されるでしょう。

時代のテクノロジーにも感謝ですね。感謝することが多い世の中です。