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世襲議員が異常に多い、同じ党による超長期政権、例外だらけのニッポン!

こんにちは!なっしー( @megane_toushi )です。

日本人による日本人論は書店に多くありますが、外国人から見た日本人論って意外と少なくないですか?【ハーバードの日本人論】は著者の佐藤智恵先生が、ハーバード大学の10人の豪華教授、准教授陣にインタビュー形式で「日本人とはなにか?」を分野ごとにやり取りした内容です。

その道の第一線で活躍されている先生方が、世界一の大学ハーバードで日本についての授業をしているというのに驚きです。

本書はサンデル教授の授業のようにわかりやすい言葉で著者の質問への回答が記されていますので読みやすく理解しやすい日本人論になっています。

わたしが特に気になって読み始めた第5章「日本人は本当に世襲が好きなのか?」の内容の一部をご紹介します。

10人で10章分あるため、他の項目や内容が気になる方はぜひポチってください♪
広い教養が身につき雑談にも使えます!

第5章を担当するのはハーバード大学准教授のダニエル・M・スミス先生です。

比較政治学が専門で、外国との比較から日本の選挙や政党に着目した研究をされています。

世襲議員が異常に多い日本

日本は世襲議員の数が突出して多いです。その事がデータで示されます。

以下は1998年~2016年を対象に調査した世襲議員の各国の比率です。

日本:28%
ドイツ:2%
イギリス:6%
アメリカ:7%

その他先進国でも10%未満だということで、日本の世襲議員の割合がとんでもないことになっているのがわかります。

日本を上回っているのは「タイ」「フィリピン」「アイスランド」で先進国は入っていません。

しかも、自民党に限った数値だと39%にもなります。

確かに、2021年9月の自民党総裁選挙でも、岸田さんと河野さんは世襲議員です。野田さんも国会議員ではないですが世襲です。

どの人もこの人も世襲。多いと思ったら39%も居るわけです。そりゃそうなりますね。

なぜ世襲議員が多いのか?

なぜ世襲議員が多いのか?それには2つの理由があります。

1.党や利益団体からの需要がある

1つ目の理由は、党や利益団体からの需要があるためです。同じ一族が地盤と後援会を維持したほうが、効率的で経済的だという理由です。

2.議員を志望する人がすくない

2つ目の理由は、議員を志望する人が少ないためです。議員に立候補しようとすると会社や組織をやめることになります。選挙で負けてしまうとお金と仕事を失い、生活できなくなるというリスクがあります。

また、ハードな議員活動が子育てと両立が難しいという点も指摘されています。

以上のような理由です。

世襲議員が多いことによる国民側のメリット・デメリットはどうでしょうか。
なんとなくイメージ的にはデメリットが多いような印象ですが、メリットもあるようです。

ダニエル准教授がどちらも紹介されています。

世襲議員のメリット

1.親が有能であれば、その脂質や能力を継いでいる可能性が高い

デメリットにもなり得そうですが、メリットとしてあげられています。

2.長期的な視点で政策立案できる。継がせるために評判を高めようとする

前者はメリットでしょうが、後者はメリットとしては弱いですね。継がせるために評判を高めようとする、のではなくて、考えや行動が結果的に評判を高めて、引退するなら子どもに継がせてほしい、という周りの声がでるくらいじゃないとメリットを感じません。

3.地域の利益を優先する傾向が強い

このメリットも微妙ですね。地域にメリットはあるのでしょうが、国会議員は国全体のことを考えてほしいものです。

とはいえ地元をないがしろにすると当選できなかったりするのでジレンマもあるのでしょうが、地域の利益という考え方自体がもう古い体質をイメージさせます。

4.女性の政治参画の機械を与える

これはメリットですね。地盤、看板、かばんがあることで子育てしながらでも参画できたりするでしょう。

世襲議員のデメリット

1.一族以外の政治参加が阻害される。一族の利益を守るため、汚職や腐敗につながる

デメリットですねー。次にもつながりますが、親が政治家だったから、という理由だけで政治家をやられたら困ります。

2.「地盤、看板、かばん」が簡単に手に入るので競争や努力をしていない

これはちょっと偏見がありそうですね。親の地盤を引くついで、競争はないかもしれませんが、努力はしているでしょう。

ただ、ゼロから組織を作り上げる苦労を知っている人の方が、良い意味で執着心があり、特に理由もなく首相をやめるということにはならないでしょうね。

最近は世襲議員も減少傾向

1994年の選挙制度改革以降、世襲議員率は減少傾向なようです。

1980年代~90年代前半までは自民党の新人立候補者の50%が世襲でしたが、2009年以降は10%程度で他の民主国家と同じレベルになってきているようです。

小選挙区制度が導入されたことにより、「地盤、看板、かばん」が重要視されなくなってきているためだということで、選挙制度改革が良い結果をもたらしていました。

自民党は世界的に見ても特殊

世襲議員が異常に多い日本の中でも、自民党は世界的に見ても特殊だそうです。

世界の民主主義国家で同じ党が長期間一国の政権を担ってきた例がないです。しかも、自民党の人気が高いわけではない。

勝てるのに人気は無い不思議

以下、2014年の第47回衆議院議員総選挙の比例代表の得票率です。

自民党:33%
民主党:18%
維新の会:16%

このように、民主党と維新の会をたすと自民党を超えます。

2017年の第48回衆議院議員総選挙では、

自民党:33%
立憲民主党:20%
希望の党:17%

となっており、このときも立憲民主党と希望の党をたすと自民党を超えています。

なぜ人気が無いのに勝てるのか?

ではなぜ勝てるのか?4つの理由が紹介されています。

1.小選挙区比例代表並立制

小選挙区では1人しか当選しないので大政党に有利になります。2009年は民主党が同じ選挙制度で勝利しているため、自民党だけに有利になっているわけではないです。

2.公明党

公明党は小選挙区に10名程度の候補者しか擁立しません。公明党支持者で候補者が以内地域の人は自民党に投票することになります。自己連立が自民党を強くしています。

3.共産党

共産党は勝てる見込みが無い選挙区でも候補者をたてます。結果、反自民の票が分散してしまい、自公連立政権に利するという矛盾が起きてます。

最近は野党共闘という言葉もあり、候補者を野党内で一元化しようとしていますが、共産党は思想が全然相容れないと思うので、烏合の衆感が強くなり、結局自公連立政権を利する、という状況になっています。

なにをやっているんだと国民は呆れるばかりですね。

4.投票率の低さ

これが最大の要因かもしれません。

自民党、公明党の支持者は積極的に投票に行く傾向があるそうです。

つまり投票率が低いとこの2党を支持している有権者の意見が多く取り入れられるという当たり前の状況になっているというわけです。

実際2009年に民主党が政権をとった選挙では投票率は69%となっています。

さぞかし自民公明の人たちは投票率をあげたくないでしょうね。

「自民党は嫌いだけど投票したい政党がないから選挙にいかない」というよくわからない意見をたまに聞きますが、立憲民主や維新の会など野党には投票するようにしないと、嫌いな自民党政権がずっと続くことになります。もう選挙は矛盾ばかりですね。

あとがき

というように、5章だけでも十分な読み応えがある本書では、他の分野のスペシャリストの意見がまとめられており、非常に読み応えがあります。

10月末の衆議院議員総選挙はどういう結果になるでしょうね。

まあどうせ、投票率は50%台で、自民党・公明党が過半数を維持するのは間違いないでしょう。

野党は分散していて小池百合子の政党も加わろうとしており、ますます分散が進みそうです。

あとは自民党が金融政策だけ間違えなければいいのになと願っています。